皮膚の感染症には他の臓器と同じように細菌,真菌,ウイルス,スピロヘータ,リケッチア,医動物などの種類があり,「皮膚科診療:夏の風物詩」とも言える伝染性膿痂疹や伝染性軟属腫などの高頻度にみられる疾患から,頻度の低い,それゆえに見逃されやすい疾患まで多岐に及ぶ。T. tonsurans感染症は最近話題になった浅在性真菌感染症であり,軽微な皮疹であっても診断する必要がある。柔道の部活で流行ることも多い。
成人のパルボウイルスB19感染症も,症状がりんご病と異なり関節痛が顕著で,皮疹が多彩でかつ軽微なこともあり,疑わないと診断がつかない。トキシックショック症候群やその連鎖球菌版であるトキシックショック様症候群は緊急性を要する上,小児例もみられるため注意すべきである。
Vibrio vulnificus感染症はかなりの周知がなされたため,ご存知の方が多いであろう。肝疾患患者での蜂窩織炎は注意すべきである(文献1)。EBウイルス感染症も感染症状が前面に出るのではなく,思いもかけない症状を呈する。皮膚科的には蚊アレルギー(蚊刺過敏症)と種痘様水疱症が症状となることを忘れてはならない。蠅蛆病(ようそびょう)とハエ幼虫症は,それぞれ高齢社会とグローバル化による外国人の日本居住という社会的背景によって起こった特異な医動物感染症である。薬疹とヘルペスウイルスに属するHHV-6の関係も,薬剤性過敏症症候群(DIHS)において密接に関わっている(文献2)。
1) Patel VJ, et al:J Am Acad Dermatol. 2002; 46(5 Suppl):S144-5.
2) Shiohara T, et al:Clin Rev Allergy Immunol. 2007;33(1-2):124-33.