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生きた神経移植法 ―ターンオーバー法

No.4728 (2014年12月06日発行) P.61

光嶋勲 (東京大学形成外科・美容外科教授)

登録日: 2014-12-06

最終更新日: 2016-10-26

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神経欠損がある場合,通常は別の場所から神経を採取して欠損部に移植する遊離神経移植法がなされる。この方法は採取部位に神経麻痺が生じ,術後の神経回復は不十分である。この原因としては,移植床の血行不良による移植片の壊死や線維化が再生軸索の伸長を妨げているためとされている。
これに対し,移植神経片に栄養血管を付けて採取し,移植床の血管と顕微鏡下で吻合する血管柄付き神経移植法が既に開発されている。特に,移植床の瘢痕がひどく神経の欠損が長い例でこの方法を用いると,きわめて良好な神経再生が得られる。しかし,この方法は別の場所からの神経採取と微小血管吻合が必要という欠点があるため,広く臨床応用されていない。
最近開発されたターンオーバー法(文献1)は血管柄付き神経移植法のひとつであり,その術式はきわめて容易である。神経欠損部の両側の神経幹中の1本の神経束を欠損部に向けて互いにターンした後,神経束同士を吻合し神経欠損を連結する方法である。
この方法ではターンした神経束の逆行性血行が確保されているので,たとえ瘢痕床であっても移行神経束内のすべての細胞が生着する。その結果,これまでの通常の神経移植法に比べてドナーの犠牲を伴わず,短時間で手術が終了し,はるかに優れた神経再生が得られることがわかりつつある。

【文献】


1) Koshima I, et al:J Plast Reconstr Aesthet Surg. 2010;63(6):1008-14.

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