IgG4関連疾患は,種々の臓器に炎症性線維化病変を形成する疾患であり,近年,注目されている。特に自己免疫性膵炎とMikulicz病はこの疾患の最も重要なものであり,また頻度も他臓器病変より高いために,プロトタイプとされる。皮膚にもIgG4関連疾患の病変はみられ,多彩であることが判明してきた。
筆者らはIgG4関連疾患の皮膚病変を7つにわけることを提唱している(文献1)。すなわち,(1)皮膚形質細胞増多症,(2)偽リンパ腫/好酸球性血管リンパ球増殖症(angiolymphoid hyperplasia with eosinophilia:ALHE)/木村病,(3)Mikulicz病,(4)乾癬様皮疹,(5)非特異的紅斑丘疹,(6)高γグロブリン血症性紫斑/蕁麻疹様血管炎,(7)虚血指,である。
(1)~(3)に関しては,IgG4陽性形質細胞が病変部に多数浸潤することによって形成される,直接的な腫瘤としての原発疹である。そのほかの(4)~(7)については,IgG4陽性形質細胞あるいはIgG4による炎症自体が間接的に働き病変をきたす続発疹と考えられる。
過去に皮膚形質細胞増多症や木村病と診断してきた症例の中にIgG4関連皮膚疾患が含まれていた可能性もあり,今後注意を要する。また,眼瞼腫脹を示す患者は皮膚科を訪れることもあり,その場合のIgG4の測定とMikulicz病の鑑別は重要である。加えて,アナフィラクトイド紫斑の鑑別としてIgG4関連疾患による高γグロブリン血症性紫斑は念頭に置くべきであろう。
1) Tokura Y, et al:Br J Dermatol. 2014. [Epub ahead of print]