骨巨細胞腫は骨溶解性の腫瘍であり,病理学的には良性腫瘍とみなされているものの,長管骨の関節近傍や脊椎に好発し,骨を著しく破壊する。治療は外科的切除が原則である。広範切除を行った場合には,関節切除や切断などの重大な後遺症を伴うことがある。一方,関節機能の温存をめざした外科的治療では不十分な切除となることがあり,再発の危険性が高くなる。放射線療法や化学療法の効果は不明であり,腫瘍縮小や再発予防を目的とした非外科的治療法はこれまで確立されていない。
デノスマブはRANK ligand(RANKL)に結合するヒトモノクローナル抗体で,破骨細胞の形成や活性化を抑制する。現在,骨粗鬆症や転移性骨腫瘍に対する治療薬として使用されている。
骨巨細胞腫では,強発現されたRANKLが破骨細胞様巨細胞や,その前駆細胞を刺激して骨破壊や腫瘍増殖を促進する。近年,骨巨細胞腫に対するデノスマブの臨床試験が行われ,安全性や良好な腫瘍縮小効果(文献1,2)が報告されている。米国では2013年6月に骨巨細胞腫へのデノスマブ(XgevaR)の適用拡大が承認され,わが国においても2014年5月にランマークRの適用が承認された。今後,骨巨細胞腫に対する術前の腫瘍縮小効果や術後の再発予防効果が期待される。
1) Thomas D, et al:Lancet Oncol. 2010;11(3): 275-80.
2) Chawla S, et al:Lancet Oncol. 2013;14(9):901-8.