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脊椎の転移性骨腫瘍に対する再照射

No.4746 (2015年04月11日発行) P.49

田中 寛 (都立駒込病院放射線診療科治療部)

登録日: 2015-04-11

最終更新日: 2016-10-26

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疼痛を有する転移性骨腫瘍には放射線治療が用いられる。化学療法の発達で遠隔転移を有する患者の生命予後が延長し,放射線治療後の再照射はより重要なものとなりつつある(文献1~5)。
Chowら(文献2)は,治療歴のある病変(脊椎病変は6
Gy/1fr.~20Gy/5fr.の治療歴のみ許容)に対し8
Gy/1fr.と20Gy/multiple fractions(20Gy/m-fr.)の照射を無作為化比較試験で比較し,20Gy/m-fr.に対する8Gy/1fr.の疼痛緩和における非劣性がprimary endpointで示された。20Gy/m-fr.の消化器毒性が多く観察されたが,放射線脊髄炎は観察されなかった。本研究により脊椎に対する20Gy/5fr.までの治療歴がある患者に対する疼痛緩和再照射の標準治療は8Gy/1fr.となった。
より高線量が照射されている場合の再照射を評価する前向きの臨床試験は存在しないが,遡及的研究で30Gy/10fr.の治療後,6カ月以上が過ぎていれば,8Gy/1fr.の再照射が安全に施行可能であると示唆されている(文献3,4)。他方,放射線治療機器の発展により脊髄を避けた定位放射線治療も可能になり,その場合の脊髄の耐容線量も遡及的研究で明らかにされた(文献5)。再照射に関しては治療が複雑化しており,治療の安全性を担保するために,より専門的な知識が必要となりつつある。

【文献】


1) Rades D, et al:Nat Rev Clin Oncol. 2010;7(4):
220-9.
2) Chow E, et al:Lancet Oncol. 2014;15(2):164-71.
3) Wong E, et al:Radiother Oncol. 2014;110(1):
61-70.
4) Nieder C, et al:Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2006;66(5):1446-9.
5) Sahgal A, et al:Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2012;82(1):107-16.

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