株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

人を対象とする医学系研究に関する倫理指針

No.4753 (2015年05月30日発行) P.56

長谷川純一 (鳥取大学薬物治療学教授)

登録日: 2015-05-30

最終更新日: 2016-10-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

平成14(2002)年に疫学研究に関する倫理指針,15(2003)年に臨床研究に関する倫理指針が公布され,適正な研究実施のあり方が示されてきた。その後,何度か改正されてはいたが,研究の多様化に伴った両指針の適用関係の不明確さや,研究不正事案などを契機に両指針が統合され,「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(文献1)として26(2014)年12月に公布され,27(2015)年4月から施行された((9)の規定は10月1日から施行)。
主な内容(文献2)は,(1)研究機関の長や研究責任者等の責務に関し,機関の長の研究に対する総括的な監督義務,研究責任者の責務を明確化,研究者への教育・研修の規定を充実,(2)バンク・アーカイブに関しては,試料・情報を収集し,他の研究機関に反復継続して研究用に提供する機関に本指針を適用,(3)研究責任者の公開データベースへの登録義務,(4)倫理審査委員会の機能強化と透明性確保に関し情報公開規定を充実,(5)インフォームド・コンセントの手続きを研究対象者に生じる負担・リスクに応じて整理,未成年者等が研究対象者の場合,本人にも理解力に応じたわかりやすい説明を行い,研究についての賛意(インフォームド・アセント)を得る努力を規定,(6)死者の個人情報について責務規定を充実,(7)利益相反の管理に関しては研究責任者や研究者がとるべき措置を明確化,(8)試料・情報等の保管に関し,年限などを規定,(9)モニタリング・監査に関する規定,などとなっている。

【文献】


1) [http://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/n1443_01.pdf]
2) [http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/26/12/1354186.htm]

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連物件情報

もっと見る

page top