株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

新しい処方箋の書き方

No.4756 (2015年06月20日発行) P.54

長谷川純一 (鳥取大学薬物治療学教授)

登録日: 2015-06-20

最終更新日: 2016-10-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

処方箋の記載方法については,近年ジェネリック医薬品の使用促進策のために次々と変更が加えられている。しかしながら,基本的な部分は明治の時代から変わっていなかった。すなわち,内服薬の処方箋には薬名と1日分の投与量を記載し,それを何回にわけて服用するか,さらに食事の前後や食間,就寝前など,服薬タイミングを記載することとされていた。これが,2010年1月29日の厚生労働省医政局長ならびに厚生労働省医薬食品局長通知(文献1)により大きく変わることとなった。
「内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書」(文献1)に従うことを求めたものだが,これまでの処方・与薬に関連する事故事例などの検討結果として,内服薬の処方箋への記載が1日量ではなく1回量を記載することに変わった。散剤や液剤量も「g記載は製剤量,mg記載は原薬量」などという慣例ではなく,製剤量を基本とすることなども謳われた。薬名も剤形,規格単位を含んだ形式とし,「1回1錠を1日3回毎食後に。7日分」といった形で(日本語で)記載する。日本全国一斉に変更とはいかないことから,順次変更が求められているが,混乱を避けるため,移行期には1回量と1日量を併記するよう指導されている。
一見大きな変化ではないようだが,朝,昼,夕の服用量が異なる不均等投与の場合,薬名をそれぞれに記載する必要があり,煩わしいようである。電子カルテなどの普及で処方箋を手書きする機会が少なくなったことから起こった大変革である。

【文献】


1) 厚生労働省医政局長・厚生労働省医薬食品局長:内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書の公表について(医政発0129第3号/薬食発0129第5号). 2010年1月29日.
[http://www.jshp.or.jp/cont/10/0202.pdf]

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

関連物件情報

もっと見る

page top