血管腫やリンパ管腫は用語に多少の混乱がみられたが,1996年のISSVA(International Society for the Study of Vascular Anomalies)分類により,血管性病変は血管腫(hemangioma)と血管奇形(vascular malformation)に大別された。これに伴い,海綿状血管腫は静脈奇形(venous malformation)に分類されている(文献1)。
静脈奇形では,青紫調の皮膚変化や腫脹,疼痛が経年的に進行する。巨大病変や全身多発病変では,病変内での血液凝固によるフィブリノーゲンの大量消費が生じて,localized intravascular coagulopathy(LIC)と言われる病態を呈し,外傷や手術などを契機として止血困難をきたすことがある。
本症の治療は,体表に限局する病変であれば切除の適応となるが,巨大な病変や前述の凝固異常例では硬化療法が主体となる。
硬化剤としては,無水エタノール,ポリドカノール,モノエタノールアミンオレイン酸塩が用いられることが多い。いまだ難治な症例が数多く存在しているが,硬化療法の発展により,低侵襲かつ,出血や瘢痕形成を伴わない症状改善が可能となってきている(文献2)。
1) ISSVAホームページ. [http://www.issva.org/]
2) 佐々木 了:形成外科. 2012;55(11):1205-13.