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耐性菌感染症治療を可能にした呼吸器領域の抗菌薬療法

No.4774 (2015年10月24日発行) P.50

平松和史 (大分大学医学部附属病院感染制御部准教授)

登録日: 2015-10-24

最終更新日: 2016-10-26

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近年の様々な耐性菌による感染症は,呼吸器領域でも重要な問題である。その1つの方策として,PK-PD理論に基づいた用量や用法が実践されている。β-ラクタム系薬ではtime above MICがその効果発現には重要で,注射薬のSBT/ABPCやTAZ/PIPCではそれぞれ最大1日12g,18gが投与可能となっている。またフルオロキノロン系薬は,AUC/MICを大きくするために1回投与量を多くしたLVFX(500mg),MFLX,GRNXが主に用いられ,多くの市中肺炎が治療可能になった。
院内肺炎では耐性菌に応じた薬剤の選択が必要である。MRSAに対してはVCMやTEIC,ABKがあり,therapeutic drug monitoring(TDM)の指標としてガイドラインが発刊されている(文献1)。また,リネゾリドはMRSA肺炎に対してVCMと同等の臨床効果を示した。グラム陰性桿菌では多剤耐性緑膿菌や多剤耐性アシネトバクター,さらに近年,カルバペネム耐性腸内細菌科細菌による感染症が問題となっている。これらの耐性菌による呼吸器感染症に対して有効な薬剤は,これまで国内で販売されていなかったが,コリスチンの注射薬が上市された。コリスチンは多くのグラム陰性桿菌に有効だが,セラチア属,プロテウス属,嫌気性菌などには無効のため注意が必要である。
こうした薬剤の投与法や新規抗菌薬の登場で,ほとんどの耐性菌感染症の治療が行える状況となっているが,その使用には新規耐性菌発現の防止を十分に考慮する必要がある。

【文献】


1) 日本化学療法学会抗菌薬TDMガイドライン作成委員会, 他, 編:抗菌薬TDMガイドライン. 日本化学療法学会, 2012.

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