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薬剤性過敏症症候群の発症早期にウイルスの再活性化を予測するバイオマーカー  【血清TNF-α,CRP,LDH,TARCが有用】

No.4787 (2016年01月23日発行) P.53

末木博彦 (昭和大学皮膚科教授)

登録日: 2016-01-23

最終更新日: 2016-10-26

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薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)では経過中にhuman herpes virus(HHV)-6をはじめとするウイルスの再活性化を生じ,脳炎や肺炎などの臓器炎により死の転帰をたどることがある。発症早期にウイルスの再活性化リスクを評価できれば,迅速に対処しやすい。
DIHS患者におけるHHV-6再活性化群と非再活性化群の比較により,発症早期の上昇がHHV-6の再活性化と関連ありと判定されたバイオマーカーは,血清TNF-α,CRP,LDHであった(文献1)。HHV-6再活性化を予測すべき閾値はTNF-α>12pg/mL,CRP>7mg/dL,LDH>600U/Lであった(文献1)。
TARC(thymus and activation regulated chemokine)はアトピー性皮膚炎の重症度の指標として保険適用されているが,DIHSにおいても発症早期から多くの症例で1万pg/mL以上の異常高値を示すことから,発症早期の鑑別診断に役立つばかりでなく,重症度スコアとも弱いながらも相関関係がある(文献2)。
TARC値はDIHSの発症早期にHHV-6再活性化群で平均値2万1023pg/mLと,非再活性化群の約3倍の高値を示し,ウイルス再活性化の予測にも有用と考えられる(文献2)。

【文献】


1) Uno H, et al:J Dermatol Sci. 2014;74(2):177-9.
2) Ogawa K, et al:Br J Dermatol. 2014;171(2):425-7.

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