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乳幼児突然死症候群の病態:トリプルリスクモデル 【発達臨界期,脆弱性を有する児,外的ストレスがリスクとなる】

No.4794 (2016年03月12日発行) P.50

小谷泰一 (京都大学法医学准教授)

登録日: 2016-03-12

最終更新日: 2016-10-26

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乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症率は,仰向け寝が励行されることで減少したが,いまだ乳児死亡原因の第3位に位置し,頻度は出生6000~7000人に1人である。その病態は長らく不明であったが,3つのリスク因子が重複したときにSIDSは発症する,という病態説明が最近定着してきた(文献1)。
心肺機能を調整する自律神経系の発達が不十分な生後2~4カ月の時期((1)発達臨界期)に,低出生時体重や母の喫煙などの影響で脳幹部に異常が生じたため外部からのストレスに対する防御反応が弱くなっている児((2)脆弱性を有する児)が,うつ伏せ寝や上気道炎など((3)外的ストレス)にさらされたとき,つまり,リスクが重複したときにSIDSは出現するとされる(図1)。リスクの寄与度は症例ごとに異なり,脆弱性が高度な児は軽度の外的ストレスでも発症し,軽度な児では強い外的ストレスで発症する。この病態説明に基づくSIDS症例の集積は,脆弱な児の早期発見法の解明や外的リスクの共通認識とその回避につながり,SIDS発症の予防に貢献すると期待される。

【文献】


1) Kinney HC, et al:N Engl J Med. 2009;361(8):795-805.

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