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環軸椎固定術の進歩  【スクリュー刺入時に椎骨動脈や脊髄損傷のリスクがあるため,computer navigationを利用し,安全に手術を行う】

No.4797 (2016年04月02日発行) P.54

竹林庸雄 (札幌医科大学整形外科准教授)

登録日: 2016-04-02

最終更新日: 2016-10-26

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環軸椎関節は,椎体・椎間板構造という強固な支持組織を有せず,靱帯組織がその安定性を担っているため,脊椎のほかの高位と異なり不安定性を惹起しやすい。環軸椎亜脱臼は,関節リウマチで合併することが多いが,外傷(歯突起骨折),歯突起骨,歯突起後方偽腫瘍,ダウン症などでもみられる。
不安定性が著しく神経症状を呈する症例や頸部痛が強い症例は手術適応である。手術は環軸椎の後方固定術が行われるが,以前は環軸椎を後方からの鋼線で締結する方法(Gallie法,Brooks法など)が用いられた。しかし,術後長期の外固定,高頻度の再脱臼,骨癒合率が低いなど問題があった。そこで,より強固な固定法が求められ,Magerlが外側環軸椎関節にスクリューを貫通させて固定する方法を開発した。
本法は固定性が良く,骨癒合率も高く頻用されているが,スクリュー刺入の際に椎骨動脈損傷や脊髄損傷のリスクがあり,技術を要する術式である。最近では,環椎外側塊と軸椎椎弓根に各々スクリューを刺入し,これらをロッドで固定する方法も使用されている。本法は,環軸椎の整復をスクリュー刺入後に至適な位置で行えるという点で,整復位を保持してスクリューを貫通しなければならないMagerl法よりも有利である。しかしながら,椎骨動脈の走行には破格があり,スクリュー刺入経路と血管の走行が重なる症例があることから,造影CTなどで術前に手術計画を立てることや,スクリュー刺入の精度を高めるためcomputer navigationを利用し,安全に手術を行うことが必要である。

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