厚生労働省は10月26日、精神保健指定医89名の指定取り消しを決定した。処分の発効は11月9日。医道審議会医師分科会精神保健指定医資格審査部会は「指定医制度に対する国民の信頼を揺るがすような行為で言語道断。指導医の責任も重大である」とした上で、口頭試験の導入など審査制度変更の必要性を指摘した。同部会としてコメントを発表するのは異例。
昨年の聖マリアンナ医大病院での不正資格取得問題を受け、厚労省が調査していた。調査の対象は2009年1月から15年7月の申請者3374名、対象ケースレポートは3万1195件。診断や治療の関わりが不十分だった症例のケースレポートを提出した申請者49名、申請者がケースレポートを作成する際の指導・確認の責務を怠った指導医40名が処分の対象で、加えて不正なケースレポートを提出した新規申請者4名を却下とした。
取り消し処分を受けた指定医が当時在籍していたのは26医療機関。京都府立医大病院(8名)や愛知医大病院(7名)、兵庫医大病院(7名)など大学病院が目立つ。
同日には山崎學日本精神科病院協会会長が「誠に遺憾」とした声明を発表。学会専門医と指定医との役割分担の明確化が求められるなど、指定医制度制定から30年が経過する中で制度疲労を起こしており、「試験や研修の方法を改革すべき時期」と指摘し、厚労省と同様に制度改正を求めた。