変形性膝関節症は,加齢とともに膝関節軟骨が摩滅し,滑膜炎症,半月断裂や軟骨下骨の損傷により疼痛を生じ,日常生活に障害をもたらす。高齢化が著しく進むわが国において,症例数の急増が見込まれている。
内側型膝関節症(O脚)に対する手術治療法の代表は,高位脛骨骨切り術(HTO)と全人工膝関節置換術(TKA)である。しかし,HTOは後療法に時間を要し,免荷歩行の困難な高齢者には不向きである。また,症例によっては十字靱帯を切除し内外側顆部・膝蓋骨などすべての膝関節面を置換するTKAの適応に躊躇を覚えることがある。
しかし近年,新たなデザインと低侵襲手術手技による単顆人工膝置換術(UKA)の良好な成績が報告され,UKAが見直されている。適応や手術手技に誤りがなければ,TKAをしのぐ術後膝関節機能が得られる。また,靱帯機能が温存されるため,ゴルフやテニスなどスポーツ復帰も可能である。
UKAの特徴は,(1)疼痛の主な発生部位となっている膝内側のみを表面置換する,(2)すべての十字靱帯が温存されるため,自然なフィーリングが得られる,(3)若い頃の膝の姿が再現される,(4)手術侵襲が小さく,手術リスクの高い高齢者にも適応可能な場合がある,(5)術後回復が早い(翌日より荷重歩行可能),である。
手術適応の考え方や手技には習熟が必要であるが,本法を組み込むことで患者満足度の高い膝関節外科の治療体系を手にすることができる(文献1)。
1) 赤木將男:関節外科. 2005;24(10):17-22.