株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

新しい創傷治療:慢性創傷に対する局所陰圧閉鎖療法 【治癒阻害因子を除去し,創の新鮮化,感染制御を行った上で施行】

No.4811 (2016年07月09日発行) P.51

島田賢一 (金沢医科大学形成外科准教授)

登録日: 2016-07-09

最終更新日: 2016-10-29

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

慢性創傷とは,正常の創傷治癒機転が働かず,長期に治癒しない創傷である。臨床的には1カ月以上持続する創傷を意味し,代表的なものに褥瘡,下腿潰瘍,感染創傷などがある。これらに局所陰圧閉鎖療法(negative pressure wound therapy:NPWT)を適応する場合は,慢性創傷の原因となっている治癒阻害因子を除去し,創の新鮮化,感染制御を行う必要がある。
褥瘡においては,外力・ずれなどの治癒阻害因子を除去し,創内の壊死組織除去(デブリードマン),新鮮化を図る。ポケットを有する場合はそれを外科的に開放する。これらを行った後にNPWTによって創面の肉芽組織の増生を図る。
下腿潰瘍には,糖尿病性足壊疽,虚血性潰瘍,静脈うっ滞性潰瘍が含まれる。いずれの疾患においても,まずは下肢の血流状態の評価が重要である。特に虚血性潰瘍の場合では,陰圧負荷により潰瘍が悪化するのでNPWTは禁忌であり,NPWTを施行する場合は下肢血流の改善(バイパスや末梢血管拡張)が必要である。
感染創傷は通常,NPWTの適応にはならないため,慢性感染創においてはまず感染コントロールが必要である。近年では,灌流装置を用いて持続的に創内を洗浄しながらNPWTを施行する方法が試みられ,良好な結果を得ている。NPWTは診療報酬を算定できる治療法である。しかし,実施期間は無制限ではないので,治療期間の長い慢性創傷に漫然とNPWTを行うことはできない。

【参考】

▼ 平林慎一, 他, 編:形成外科治療手技全書Ⅰ─形成外科の基本手技1. 克誠堂出版, 2016, p46-56.

関連記事・論文

関連書籍

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top