【Q】
強迫症(強迫性障害,obsessive compulsive disorder:OCD)の薬物療法では,第一選択薬として選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor:SSRI)が用いられることが多いのですが,それだけで症状が軽快しない重症の患者も大勢います。そこで,SSRIでは寛解しないOCDにおける薬物療法のさらなる一手について,兵庫医科大学・松永寿人先生のご教示をお願いします。【A】
SSRIはOCDに対する第一選択薬ですが,その効果は限定的であり,中等度以上の改善を示すものの割合は50%程度とされています。2剤以上のSSRI(クロミプラミンを含む)の十分量,十分期間の投与に対して,いずれにも反応性が乏しい,いわゆるSSRI抵抗性のOCD患者も少なくありません。このようなSSRI抵抗性OCD患者に対しては,特定の薬剤をSSRIに付加することによる増強療法が用いられています。
1) Koran LM, et al:Am J Psychiatry. 2007;164(7 Suppl):5-53.
2) 松永寿人:精神科治療. 2011;26(増刊):56-67.
3) 松永寿人:専門医のための精神科臨床リュミエール15─難治性精神障害へのストラテジー. 中込和幸, 編. 中山書店, 2010, p85-97.
4) Skapinakis P, et al:Eur Neuropsychopharmacol. 2007;17(2):79-93.
5) Masi G, et al:J Clin Psychopharmacol. 2010;30(6):688-93.
6) Veale D, et al:BMC Psychiatry. 2014;14:317.
7) Matsunaga H, et al:J Clin Psychiatry. 2009;70(6):863-8.