【概要】日本専門医機構が運用する新専門医制度について、機構は2018年度をメドに一斉スタートする方針を決めた。当初の開始予定は2017年度だったが、1年先送りする。17年度は各学会の運用による専門医研修となり、既存の制度を継続するか新たなプログラムを用いるかは学会の判断に任された。
20日の理事会で1年先送りの方針を決定した後、25日の社員総会で了承された。理事会に先立ち同日開催した19基本領域の協議会と、日本医師会・四病院団体協議会が設置を求めていた「検討の場」で、新制度に向けて作成された新たなプログラムを精査した結果、定員が約1万9000人で専攻医の人数の約2倍となり、大都市への専攻医の集中が懸念されることが先送りの最大の理由だとする。
●17年度は学会の責任で実施
20日の会見で吉村博邦理事長は「一度立ち止まって、18年度をメドに国民や地域の方々の懸念を払拭できるよう機構と学会が連携して問題点を改善し、一斉スタートすることを目指す。17年度は研修医や国民の混乱を回避するために各学会が責任をもって制度を運用する。要望として、できるところは既存の制度でお願いしたい」との方針を説明した。
新たなプログラムを「暫定プログラム」という扱いにして実施することも認めるものの、その場合には地域医療への配慮を要請する。機構は地域医療への配慮の例として、定員を昨年度実績の1.2倍程度に抑える、指導医の要件を緩和して研修病院を増やす─などを挙げたが、具体的な対策は各学会に一任。各学会は17年度の対応について、機構のほか都道府県の医療審議会や社会保障審議会医療部会に報告する。今後のスケジュールは表の通り。
総合診療専門医についても機構が運用するのは18年度メドになる。ただ機構の調査では現在2年目の研修医のうち約4%が来年度から総合診療専門医研修を希望しているため、来年度の暫定的措置を早急に理事会で検討する方針。
●サブスペシャルティについて近日中に議論開始
18年度の一斉スタートに向けて機構では、今後早急に整備基準の見直しや専攻医の身分保障、義務年限がある地域枠・自治医大卒の医師への対応、サブスペシャルティなどの課題について、学会と協議する。サブスペシャルティについて松原謙二副理事長は、近日中に議論を開始する意向を示している。
このほか機構では、今後の日本の人口動態や疾病構造の変化に基づいて、将来の専門医のあり方を長期的に検討する場を9月以降に設置することも決定した。ここでの結論には2~3年かかる見通し。