医療者も患者もどんどん国境を越えるようになってきて,多剤耐性菌をはじめとする新たな感染症の脅威が出てきました。わが国は経口第3世代セフェム,マクロライドやニューキノロンが濫用気味に思えます。国境を越える多剤耐性菌や耐性病原体や耐性ベクターについて,国立国際医療研究センター国際感染症センター/国際診療部・忽那賢志先生のご解説をお願いします。
【質問者】
林 啓一 ラッフルズジャパニーズクリニック
多剤耐性菌というと,MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)やESBL(基質特異性拡張型βラクタマーゼ)が有名ですが,最近はCRE(カルバペネム耐性腸内細菌科細菌)がわが国でも問題になっています。ややこしいのですが,このCREと呼ばれる耐性菌の一部は,カルバペネマーゼというカルバペネムを分解する酵素を産生します。わが国のカルバペネマーゼ産生菌の多くはIMP型というカルバペネマーゼを産生しています。
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