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片頭痛におけるトリプタン製剤乱用・無効例の治療選択 【新たなターゲットとしてカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に注目】

No.4830 (2016年11月19日発行) P.62

川口千佳子 (せやクリニック副院長)

丹羽 潔 (東京頭痛クリニック理事長/にわファミリークリニック院長)

登録日: 2016-11-16

最終更新日: 2016-11-14

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  • 頭痛を主訴に来院される患者はとても多く,特に片頭痛でトリプタン製剤を使用している患者の薬剤乱用や無効例の治療に苦慮することも多々あります。そのような患者にどのような治療を選択すべきか,東京頭痛クリニック・丹羽 潔先生のご教示をお願いします。

    【質問者】

    川口千佳子 せやクリニック副院長


    【回答】

    片頭痛の急性期治療薬として登場した5HT 1B/1D受容体アゴニストであるトリプタン製剤ですが,欧米では1990年代初めにスマトリプタンなどが認可されています。特効薬であるがゆえに服用しすぎて,その後数年で,トリプタンによる薬物乱用頭痛(medication overuse headache:MOH)が広まり問題となりました。

    わが国においても2000年からトリプタン製剤の使用が可能となり,多くの片頭痛患者が恩恵を受けられるようになりましたが,以下のいくつかの問題点が指摘されています。①3カ月を超えて,月に10日以上定期的に使用することによるMOH,②まったくトリプタンが効かないノンレスポンダー,③胸部の不快感やめまい,悪心,傾眠などの副作用が生じるため服用できない,またはトリプタンが血管収縮作用を有するため,心血管障害・脳血管障害の既往,コントロール不良の高血圧症例では使用できない。

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