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(1)一般外来でHIV感染症を疑うヒント [特集:外来でHIV感染症に出会ったとき,どう対応する?]

No.4831 (2016年11月26日発行) P.26

松尾裕央 (兵庫県立尼崎総合医療センター感染症内科医長)

登録日: 2016-11-25

最終更新日: 2016-11-21

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  • 急性ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症で多い症状は,発熱,倦怠感,筋肉痛などの非特異的所見である

    AIDSを診断する手がかりは日和見感染症を見つけることであり,頻度が高いのはニューモシスチス肺炎である

    「よく見る症状だが経過や所見に違和感はないか」という視点がHIV感染症を疑う手がかりとなる

    どのような症状に対しても,HIV感染症を心の隅に鑑別として置いておく

    “Zebra”だから見逃してもよい,というわけではない

    1. HIV感染症という“Zebra”への取り組み方

    ──“If you don't think about it(zebra), you'll never diagnose it.”(from “Sapira's Art & Science of Bedside Diagnosis”)
    日本で一般内科診療を行っている者にとって,ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus:HIV)感染症は“Zebra”かもしれない。しかも,急性HIV感染症に伴う症状は自然経過で改善してしまい,医療者も患者本人も一見治ったように感じてしまうのがややこしい。AIDSにおける日和見感染症もまた,一般内科診療を行っている者にとっては“Zebra”であろう。
    それら“Zebra”を鑑別の上位に置くのではなく,鑑別のひとつとしていつでも心の隅に置いておき,いざというときに検査するというのが現実的ではないだろうか。以下,一般外来においてどのようなときにHIV感染症を疑うか,症例を提示しながら検討する。

    2. 症例から迫る“疑うヒント”

    1 急性感染例

    【症例】20歳男性
    【主訴】発熱,皮疹
    【現病歴】2月X日,発熱咽頭痛を認め,近医を受診。アモキシシリン(サワシリン®),トラネキサム酸(トランサミン®),ロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン®)を処方され,X+4日に解熱。X+15日,倦怠感を自覚。X+16日夜から39℃の発熱と皮疹が出現。皮疹は頸・背部から始まり,胸腹部から四肢顔面に広がった。X+17日,総合病院内科を受診。麻疹が疑われ,保健所に検体を提出(後にPCR陰性と判明)。X+18日,A総合病院を再診。頭痛・倦怠感・発熱(39℃)は継続。皮疹増悪を認めた。
    【検査】インフルエンザ迅速キット陰性。溶連菌迅速キット陰性。
    採血:WBC 4000/μL(好中球63%,リンパ球21%,単球7%,好酸球1%,異型リンパ球1%),Hb 15.8g/dL,Plt 12.8万/μL,AST 19U/L,ALT 22U/L,ALP 208U/L,LDH 145U/L,Cr 1.01mg/dL,BUN 10.1mg/dL,Na 138mEq/L,K 4.4mEq/L,Ca 9.0mg/dL,Glu 102mg/dL,CRP 0.33mg/dL。胸部・腹部CTでは脂肪肝のみ。
    EBV-VCAIgG 40,EBV-VCAIgM 10,EBV-EBNA 10,風疹IgG(EIA) 23.1(+),風疹IgM(EIA) 0.8(-),HSVIgM 0.8(-),水痘・帯状疱疹ヘルペスIgM 0.8(-),CMVIgM(EIA) 0.94(±),麻疹IgG(EIA) 23.6(+),麻疹IgM(EIA) 0.8(-)(図1)。

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