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日本発の非ドパミン系パーキンソン病治療薬:イストラデフィリン 【従来にない,まったく新しい作用機序を示す非ドパミン作動性薬剤】

No.4835 (2016年12月24日発行) P.47

佐藤恒太  (岡山大学脳神経内科)

登録日: 2016-12-20

最終更新日: 2016-12-14

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イストラデフィリン(ノウリアスト®)は,わが国で開発され,世界に先駆けて2013年に上市された世界初のアデノシンA2A受容体拮抗薬である。既知のパーキンソン病(Parkinson’s disease:PD)治療薬にはない,まったく新しい作用機序を示す非ドパミン作動性の薬剤である。

アデノシンA2A受容体は,大脳基底核回路内の線条体-淡蒼球経路(間接経路)に特異的に発現しており,PD患者においてはこの受容体が活性化し,その結果,間接経路に興奮状態が生じている。動物実験では,間接路を構成する中型有棘ニューロン(medium spiny neuron:MSN)の興奮抑制と,MSNの投射先である淡蒼球外節におけるGABAの遊離抑制作用を示すことがわかっており,国内の第3相臨床試験においてはオフ時間の有意な改善と,苦痛に感じるジスキネジアなしのオン時間の延長を認めている1)。半減期は53.5時間で1日1回20~40mgの投与を行う。

進行期PDの治療においては,中枢神経のドパミン神経脱落が進行し,オフ症状,ジスキネジアのため初期PD時の治療薬から薬剤の用量や種類も増加する。今回取り上げたイストラデフィリンに限らず,患者個々に応じた適切な薬剤選択が重要である。

【文献】

1) Kondo T, et al:Clin Neuropharmacol. 2015;38 (2):41-6.

【解説】

佐藤恒太 岡山大学脳神経内科

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