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(3)腰部脊柱管狭窄症に対する保存療法 [特集:腰部脊柱管狭窄症の鑑別と保存的治療]

No.4835 (2016年12月24日発行) P.37

唐司寿一 (関東労災病院整形外科脊椎外科)

松平 浩 (東京大学医学部附属病院22世紀医療センター運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座特任教授/福島県立医科大学疼痛医学講座特任教授(兼務))

吉本隆彦 (亀田総合病院リハビリテーション室/東京大学医学部附属病院22世紀医療センター運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座(兼務))

岡 敬之 (東京大学医学部附属病院22世紀医療センター運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座特任准教授)

登録日: 2016-12-23

最終更新日: 2016-12-14

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  • 薬物療法としては,リマプロスト,非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal anti-inflammatory drugs:NSAIDs),プレガバリンなどを用いる

    ブロック療法には,X線透視が不要な仙骨(または椎弓間)硬膜外ブロックと,X線透視下に行う神経根ブロックがある

    運動療法のコンセプトは,アライメント指導・体感強化・全身運動であるが,薬物療法やブロック療法などとの併用が望ましい

    1. 保存療法に関するガイドラインの記述

    腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinal stenosis:LSS)のうち,下肢痛が軽度~中等度の場合は保存療法が第一選択となる。『腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン 2011』では,保存療法の長期成績について「軽度~中等度の腰部脊柱管狭窄症の患者で最初に薬物治療・そのほかの保存治療を受け2~10年間経過観察が行われた患者のうち,約20~40%は最終的に手術が必要となるが,手術を必要としなかった患者の約50~70%では疼痛が軽減する」とされている1)。保存療法により良好な成績が得られやすい予測因子を調査した3年間のコホート研究によると,多変量解析の結果,馬尾徴候がないこと,変性すべりや側弯がないこと,有症期間が1年以内であることが独立因子として挙げられている2)。本稿ではLSSに対する保存療法について,薬物療法,ブロック療法,運動療法について概説する。

    2. 薬物療法

    1 リマプロスト

    薬物療法としては,圧迫された神経組織の循環不全を改善する作用があり,短期的な評価期間ではあるが有用性を示す無作為比較試験結果があるリマプロスト(プロスタグランジンE1誘導体製剤:5μg)を1回1錠,1日3回が第一選択薬である3)4)。効果判定は6~8週で行う。

    2 NSAIDs

    Kemp徴候が強い陽性所見を呈するなど,下肢痛の訴えが強い神経根性のLSSの場合には,急性期の炎症性疼痛の要素があると判断して短期的にロキソプロフェンを代表とするNSAIDsを用いてもよい。しかし,本症の患者は高齢者がほとんどであるため,消化器系などの副作用リスクを勘案し,長期投与は避けるべきである5)。COX-2阻害薬であるセレコキシブのほうが消化管潰瘍のリスクは低い。

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