日本医師会の釜萢敏常任理事(写真)は12月21日の会見で、一部地域で不足している麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)に関して、「定期接種の対象年齢を過ぎても接種を受けられないことがないよう、不足地域への優先的な供給を求めていく」と述べた。
MRワクチンを巡っては、国内メーカー3社のうち北里第一三共が2015年10月以降、ウイルスの力価が有効期限内に承認規格を下回る可能性があるとして出荷を停止。16年8月には、大阪府や千葉県で集団感染が発生したことで、成人の需要も増加している。厚労省は医療機関に対し、MRワクチンの予約・注文を必要な本数に限るよう呼び掛けているが、日本外来小児科学会が11月30日~12月10日に実施した緊急調査では、有効回答309人のうち103人が「注文しても必要な本数が納品されない」と回答している。
釜萢常任理事によると、特に不足がみられるのは大阪府や兵庫県。同地域への供給量は8月以降増加しているが、接種の予約を断った事例も報告されており、供給が不十分との印象を持つ医療機関も多いという。
釜萢常任理事は「全国的な不足は生じていないが、供給の偏在や必要な地域への配送が速やかに行われていないのであれば問題だ」とし、厚労省やメーカー、卸売業者に改善に向けた対応を求める考えを示した。