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減らない10代の自殺その対策は?(松本俊彦 国立精神・神経医療研究センター・薬物依存研究部長)【この人に聞きたい】

No.4974 (2019年08月24日発行) P.8

松本俊彦 (国立精神・神経医療研究センター・薬物依存研究部長)

登録日: 2019-08-22

最終更新日: 2019-08-21

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叱責や「死んではいけない」は禁句
自殺リスクのある子をサポートする
ゲートキーパーを増やす教育を

まつもと としひこ:1993年佐賀医大卒。神奈川県立精神医療センター、横浜市大附属病院精神科、国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部室長、自殺予防総合対策センター副センター長などを経て、2015年より現職。自傷・自殺関連の著書多数

2017年の人口動態統計で、10代前半の死因の1位が、初めて「自殺」になった。自殺者総数は年々減少しているが、10代の自殺は減っていない。10代の自殺を減らすにはどうしたらよいのか。若年者の自傷・自殺対策に取り組んできた松本俊彦氏に聞いた。

若年者の自殺は分かりにくく対策が立てづらい

─10代の自殺が減らないのは、どうしてなのでしょうか。

原因の一つは、なぜ命を絶ったのか理由が分かりにくい子が多いために、対策が立てにくいからです。思春期に入ると、子どもたちは急速に親に秘密を作ります。ですから、自殺が起きてから周りが騒然とするけれども、本当のところ何があったか分からない場合が多いのです。いじめがあったとしても、SNSの中だったり、親や学校の先生には見えにくいところで起こっています。

私は、約10年間かけて、「心理学的剖検」として、一番近しい遺族に、自殺で亡くなった方に対する聞き取り調査を実施しました。10代の自殺者のご遺族からも話を聞きましたが、きっかけとなる嫌な出来事があったとしても、他の世代と比べて、自殺に至るまでの期間が短いと感じました。

子どもたちは大人に比べると、比較的ささいなストレスで死を考えます。なぜなら、子どもたちは人生のさまざまな選択肢を知らないからです。小学4年生くらいまでは家庭、高校1年生くらいまでは学校が世界の全てで、そこで行き詰まると、世界が終わった感じがしてしまうのです。

また、中学生くらいまでは死生観が未熟です。死んでもまた生まれ変わる、自殺で人生をリセットできると考えている子が多いのも、簡単に死を選んでしまう理由かもしれません。

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