日本集中治療医学会、日本救急医学会、日本感染症学会の3学会でつくる「日本敗血症連盟」が8月26日、世界敗血症デー(9月13日)を前に都内で会見を開き、敗血症の救命率の向上には一般臨床医を含めた診療能力の底上げが不可欠だと強調した。
会見に出席した救急医学会敗血症合同活動委員会の小倉裕司委員長と集中治療医学会Global Sepsis Alliance委員会の中川聡委員長によると、現在の日本には敗血症の疫学的実態を把握できるデータはないものの、年間の敗血症死亡者は10万人を超えると推計され、心筋梗塞や脳卒中などに並ぶ“隠れたコモン・ディジーズ”であると言えるという。
敗血症を巡っては2016年以降、「感染に対する制御不能な宿主反応に起因する生命を脅かす臓器障害」という国際基準に準拠した定義が国内でも浸透しつつある。また①呼吸数22回/分以上、②収縮期血圧100mmHg以下、③意識状態の変容―のうち2つ以上を満たせば敗血症を疑うというスクリーニング基準「qSOFA」が提唱されており、ICU以外での一般診療での有用性が指摘されている。
中川氏は「敗血症は医療機関を受診した時点での死亡率が約20%とのデータもある」と紹介し、早期診断の重要性を指摘。救急医学会の田中裕理事は、「qSOFAを開業医や市民にも普及し、国民全体で早期診断・治療につなげていくべきだ」と語った。
小倉氏は、集中治療医学会と救急医学会を中心に、国内初となる敗血症の網羅的な疫学研究を今年から開始したことも明らかにした。現在はDPCデータから敗血症のデータを正確に抽出する方法を検討している段階だが、早期に経年的な患者実態の推移をまとめ、公表していきたい考えを示した。
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