社会保障審議会医療部会は18日、第193回通常国会に提出予定の医療法改正案に盛り込まれる項目について了承した。注目されるのは、「持分なし医療法人への移行計画の認定制度の要件見直しと延長」。法人経営の安定性確保の観点から2014年に認定制度(用語解説)が開始されたものの、認定件数は61件にとどまっており、持分なし医療法人への移行を促すため要件緩和と認定期間を3年間延長する制度改正が行われる。
「持分あり」から「持分なし」に移行した認定医療法人は「出資者の相続に係る相続税」「出資者間のみなし贈与税」について猶予または免除される。しかし、認定法人となっても「相続税などが不当に減少」したり、税務当局が解釈通知(非課税基準)で定める、①理事6名・監事2名以上、②役員の親族が3分の1以下、③医療機関名の医療計画への記載─などの要件を満たさない場合、課税される扱いとなっており、持分なしへの移行が進まない要因とされている。
そこで今回の改正では、認定法人の要件に、①法人関係者に利益供与しない、②役員報酬について不当に高額にならないよう定めている、③社会保険診療に係る収入が全体の80%以上─などを追加。運営が適正な認定法人の贈与税については、解釈通知の要件を満たさない場合でも非課税となる。
会合では加納繁照委員(日本医療法人協会)が「(解釈通知の要件が)移行を阻むネックとなっていた。今回の見直しは画期的な前進」と評価した。