【質問者】
西島 健 国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター
梅毒はTreponema pallidumによって引き起こされる感染症であり,性行為によって伝播し,感染後10~90日の潜伏期間を経て,1期梅毒から2期梅毒へと病態が進行していきます。
1期・2期梅毒の症状は未治療でも自然に軽快しますが,T. pallidum自体は体内に潜伏し,潜伏梅毒と呼ばれる状態に移行します。潜伏梅毒は,感染後1年以内の早期潜伏梅毒,感染後1年以上経過した後期潜伏梅毒,感染時期が不明の潜伏梅毒の3つに分類されますが,未治療のまま何年も経過すると,心血管梅毒や進行麻痺,脊髄癆といった重篤な病態を引き起こします(3期梅毒)。
抗菌薬治療が発展した現代においては,3期梅毒などの重症例は稀になりましたが,T. pallidumは感染早期から中枢神経を冒しうることが知られており(神経梅毒),梅毒は適切な早期診断・早期治療が重要です。
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