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骨盤骨折に対する動脈塞栓術で末梢側からの出血を止血する必要性は? 【出血原因と部位に応じて,適切かつ必要最小限の塞栓を行う】

No.4841 (2017年02月04日発行) P.60

鈴木 卓 (帝京大学医学部付属病院外傷センター准教授)

船曵知弘 (済生会横浜市東部病院救命救急センター救急科副部長)

登録日: 2017-02-02

最終更新日: 2017-01-31

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  • 骨盤骨折に対するインターベンショナルラジオロジー(interventional radiology:IVR)では,中枢側の動脈から造影してextravasationが認められた部位を塞栓しています。動脈が完全に断裂した状態では,側副血行路の存在により,断裂した反対側からも動脈性出血が残存するはずです。それを考慮して,両側の内腸骨動脈をしっかり塞栓することが推奨されているようですが,動脈を塞栓するという治療の本質から考えると,両側の内腸骨動脈を塞栓すると,筋壊死や組織の血流低下による観血的整復内固定術後の感染が危惧されます。
    合併症を起こさず,かつ止血効果の高い理想的な塞栓方法を教えて下さい。また,骨盤骨折に合併する主幹静脈損傷への対応はどのようにしたらよいでしょうか。
    済生会横浜市東部病院・船曵知弘先生に回答をお願いします。

    【質問者】

    鈴木 卓 帝京大学医学部付属病院外傷センター准教授


    【回答】

    骨盤骨折における動脈損傷での後腹膜への出血のコントロールとして,経カテーテル的動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:TAE)の有用性は,多々報告されております。動脈が断裂している場合は,断裂部の遠位側への側副血行路を介して出血が持続する可能性があります。したがって,側副血行路への血流も遮断する必要があります。

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