厚生労働省の「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」(樋口輝彦座長)は8日、精神保健指定医制度の見直しを盛り込んだ報告書案を了承した。指定医の資格審査に「口頭試問の導入の検討が適当」としている。
指定医制度を巡っては、2015年に聖マリアンナ医大病院で不正資格取得が発覚。指定申請時に自らが担当として診断・治療等に十分な関わりを持っていない症例をケースレポートとして提出した指定医や、指導・確認を怠りながらケースレポートに署名した指導医計20名の指定取消処分が実施された。さらに、その後の厚労省による追加調査で89名が指定取消処分となった。
これを受け報告書では、精神障害の診断・治療に従事した経験の有無を確実に審査できる手法として、口頭試問の導入を検討することが適当と指摘した。指定医の更新要件には、必要な資質や能力が保持されるよう、指定医としての実務経験(精神医療審査会や精神科救急への参画など)を追加。指導医の役割や要件については法令上の位置づけを明確にすべきとしている。
研修内容は、現行の座学中心による受動的な研修から、グループワーク等の能動的な研修への見直しを検討する。また、相模原市の障害者支援施設事件の検証チームによる指摘を踏まえ、「地域復帰後の医療等の継続的な支援の企画」「薬物使用に関する精神障害」に関する内容を加えるなど、指定医の専門性を高める方策の検討が必要とした。
厚労省は報告書の内容に基づき、精神保健福祉法改正案を今国会に提出する方針。