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小児がん診療拠点化に伴う小児放射線治療の実態調査 [学術論文]

No.4844 (2017年02月25日発行) P.48

関根 広 (東京慈恵会医科大学放射線医学講座教授)

登録日: 2017-02-27

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  • 稀少疾患である小児がんの診療水準を高めるために,小児がん拠点病院が全国で15箇所指定された。今回,これら15施設での放射線治療患者の実態を拠点化前後で調査すると,小児がん拠点病院での照射新患者数は,各施設で毎年50例以下であることが明らかになった。このため,小児医療施設では放射線治療が行われていない期間がかなりあり,小児施設における常勤の放射線治療医の雇用は非効率的と考えられている。しかし,緊急照射が患者の予後を左右することがあるので,小児施設における放射線治療医の雇用を前向きに検討する必要はあるだろう。

    1. 小児放射線治療の実態調査を行う背景

    がん診療においては,診療水準の均てん化を進めるために拠点病院が分散化されているのに対して,小児がんは稀少疾患であることから,患者を集約化することで診療水準を高める方針が打ち出された。2013年には小児がん診療の総合力という観点から選定を行い,全国15箇所の施設が小児がん拠点病院として指定されている。そのうち6箇所が小児医療施設,8箇所が大学病院,1箇所が自治体総合病院である。
    わが国では,年間850人程度の小児がん患者が放射線治療をうけている1)。総務省統計局の資料によると,15歳未満の年少人口は年々減少傾向であるため2),疾患発生率が同様と考えれば,小児がん患者の放射線治療件数も同程度か減少していると考えられる。
    患者が集約化されると,放射線治療専門医をめざす放射線科医が小児がんの放射線治療を研修する機会は減少することが懸念される。放射線治療専門医として,小児放射線治療に対する一定の水準を維持するためにはどうしたらよいだろうか。本研究では,小児がん拠点病院での経年的な患者数および疾患の推移を調査・分析するとともに,小児がん放射線治療の研修を効率的に行うにはどのようにすべきかを考察した。 

    2. 対象と方法─拠点化前後の患者数の推移と疾患分布,および小児放射線治療の年間施行日数

    対象として,小児がん拠点病院における拠点化前後の患者数および疾患分布の変化を調査した。2012年までは後方視的に集計し,2013年からは前向き研究として1年ごとに小児がん国際分類第3版(ICCC-3)にしたがって分類し,集計する。
    また,各施設における小児放射線治療が行われていない期間についても調査した。小児がん放射線治療の研修を効率的に行うには,短期間で集中的に研修することが必要である。しかし,小児がんの放射線治療患者数が少ないことから,施設によっては小児がんの放射線治療が行われていない期間があることが想定される。

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