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時間外労働の上限規制、「医師は例外に」【日本病院会・堺会長】

No.4845 (2017年03月04日発行) P.13

登録日: 2017-02-28

最終更新日: 2018-11-27

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「まずは医業の特殊性に理解を得たい」と述べる堺氏

日本病院会の堺常雄会長(写真)は2月27日の会見で、時間外労働の上限規制を柱とする政府の「働き方改革」の方向性(用語解説)に関して、「一律の上限規制は医療現場に多大な混乱をもたらす」と述べ、医師の労働を上限規制の例外として検討すべきとの見解を示した。今後、加藤勝信働き方改革担当相と塩崎恭久厚生労働相に要望書を提出する方針。

会見で堺氏は、「働き方改革の趣旨には全面的に賛成」と表明する一方で、「医師には応招義務があり、上限をすっきり設けることは難しい」と強調。医療に他業種と同様の上限規制が敷かれた場合、労働基準法の解釈に基づく長年の慣例として、大半の病院で「時間外労働」として扱われていない医師の宿当直や研修医の研修としての業務、自己研鑽としての学会参加などが一律に時間外労働とみなされ、「人的・経営的コストが増大する」と懸念。救急・周産期医療、緊急手術、過疎地医療にも「影響が及ぶ」とした。その上で、医師の働き方については別途、検討の場を設けるべきとの考えを示した。

堺氏はまた、宿当直を時間外労働に含めるか否かの判断や、研修医の「研修」と「労働」の切り分けに関して、「労働基準監督署によって見解が分かれている」との問題も指摘。「医師の時間外労働の定義を明確化したガイドラインやQ&Aを策定したほうがよい」と述べ、厚労省に働き掛けを行うとした。

【「働き方改革」の方向性】:「働き方改革実現会議」で検討中の労働基準法改正の方向性。36協定により週40時間を超えて認められる時間外労働の限度を「月45時間かつ年360時間」とし、上限を法律に明記。上限を上回る時間外労働をさせた事業主には、特例がある場合を除き罰則を科す。

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