政府の働き方改革実現会議は3月28日、労働基準法改正の方向性として、長時間労働の是正を柱とする実行計画を取りまとめた。勤務医への時間外労働規制の適用については、改正法施行から5年間の猶予期間を設ける。
実行計画では、時間外労働の限度の原則を「月45時間かつ年360時間」とした上で、違反には特例の場合を除き罰則を科すとしている。繁忙期の特例として労使が合意して協定を結ぶ場合でも、年間720時間(月平均60時間)の上限を新設。上限については、①2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月の平均で、いずれにおいても休日労働を含めて月80時間以内、②1カ月は休日労働を含めて100時間未満、③特例の適用は年6回まで─とした。
勤務医については時間外労働規制の対象とするが、医師法に基づく応招義務などの「特殊性を踏まえた対応が必要」とし、改正法の施行5年後をメドに規制を適用。医療界の参加の下で検討の場を設け、2年後をメドに規制の具体的なあり方や労働時間の短縮策などについて結論を得るとした。
日本病院会の堺常雄会長は27日の会見で、「医療の特殊性に一定の理解が得られた」とする一方で、「そうは言っても、病院勤務医の時間外労働の多さは異常だ。病院内の業務の効率化、病院同士の機能分担がともに不十分」と指摘。「医療団体がタイムテーブルを示しながら主体的に実行していかなくてはならない」と述べた。