新型インフルエンザとは,現在の人類のほとんどが免疫を持たないインフルエンザウイルスが,継続的なヒト─ヒト感染によりパンデミックを起こした場合,と定義されている
現時点で,高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)や鳥インフルエンザA(H7N9)は持続的な感染を起こしていないので「新型」ではなく,将来「新型」になる可能性も低い
パンデミックを反復しながら,その後は季節性インフルエンザとなったこれまでのインフルエンザに近似したものが「新型」として出現する可能性が最も高い
わが国で使われている「新型インフルエンザ」という言葉は学術用語ではない。正しくは「パンデミック・インフルエンザ」であるが,「新型」は既に行政などで慣用語として使われており,その意味を正しく知って対応する必要がある。
2014年6月,筆者も参加した厚生労働省の新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業および科学特別研究事業の共同研究班から「成人の新型インフルエンザ治療ガイドライン」が発表された1)。このガイドラインの中では,新型インフルエンザを「現在の人類のほとんどが免疫を持たないインフルエンザウイルスが,継続的なヒト─ヒト感染によりパンデミックを起こした場合を想定しており,そのような疾患を新型インフルエンザと呼ぶ」と定義している。
これに従えば,現在は季節性インフルエンザとなった2009年のインフルエンザA(H1N1)pdm09は,出現当初は新型インフルエンザであった。一方,高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)や鳥インフルエンザA(H7N9)は,現時点では新型ではないが,継続的なヒト─ヒト感染が起これば新型ということになる。
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