(京都府 K)
経腸栄養管理において大量の喀痰が生じる主な原因として,「口腔や咽頭内容物による誤嚥」と「胃食道逆流による誤嚥」が考えられます。特に経鼻胃管法による経腸栄養管理では,外径が太く硬い経鼻胃管ほど咽頭を刺激し,また経鼻胃管を介した口腔咽頭内容物の気道内侵入(唾液の垂れ込みなど)によって誤嚥する量が増す結果,気道の炎症など免疫反応による分泌物の増加を介して喀痰量が増加することになります。
こうした誤嚥の予防法として,細径で柔軟な経鼻胃管の使用や,注入時および注入後数時間の体位の工夫,徹底した口腔内衛生ケア,投薬内容の検討,栄養剤の種類や投与方法の検討などが挙げられます。近年,歯科医連携による口腔ケアの成果報告が散見され,誤嚥性肺炎を予防する上で重要なケアとして位置づけられています。
薬剤ではサブスタンスPやブラジキニンを介して気道の感覚神経の感受性を高め,咳嗽反射を促進し嚥下機能を高めるアンジオテンシン変換酵素(angiotensin converting enzyme:ACE)阻害薬が知られており,特にアジア人で効果的である可能性が示唆されています1)。その他,スタチンが効果的であるとの報告も散見されますが,コンセンサスを得るには至っていません。一方で「医療・介護関連肺炎(NHCAP)診療ガイドライン」を見ると,誤嚥をきたしやすい薬剤として鎮静薬,睡眠薬,抗コリン薬が挙げられており,そのほかにもカルシウム拮抗薬やβ遮断薬,抗精神病薬で注意が必要と考えられています。
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