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(21)高齢者─健康食品やサプリメント 健康のためにとサプリメントや健康食品を利用し,内服薬を自己判断で中断してしまう[特集:困った患者の生活習慣指導]

No.4722 (2014年10月25日発行) P.115

編集: 津下一代 (あいち健康の森健康科学総合センター センター長)

加藤綾子 (あいち健康の森健康科学総合センター健康開発部専門員)

登録日: 2016-09-01

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  • 病歴
    68歳,女性。主婦。
    64歳頃から血圧高値を指摘,体重増加も気にしていたため,食事制限を繰り返してきた。身長161.3cm,体重62.5kg,BMI 24.0,安静時血圧150/98mmHg。
    2年前には高血圧内服治療を開始し,血圧安定していたが,血圧降下に効き目があるという外国製サプリメントを飲むようになり,半年前から内服を自己中断している。また,巷で評判の食事制限方法を聞くと試し,体重の減少,増加を繰り返している。体重減少の時は血圧低下を体感しているが,そのたびにリバウンドし,挫折を繰り返している。
    家族歴:父親が高血圧。飲酒:機会飲酒。喫煙:なし。
    運動:週2~3時間を2~3回(ウォーキング1時間,筋トレ30分,水中ウォーキング1時間)。食生活:お茶やサプリメントなど,体によいとされる情報を得るごとに実践している。

    1. 医師はどのような点に困っているのか?

    問題点
    ▶内服薬を自己判断で中断してしまう
    ▶「健康食品やサプリメントのほうが体調に合っている」と考えている

    4年前より薬を内服し,食事や運動で自分なりに気をつけている。生活習慣が非常に重要であると考えてはいるが,健康に効果があるとされる健康食品などを試さずにはいられず,それらを利用している期間は内服薬を中断してしまう。しかし,血圧値が上昇するため内服薬の効果は実感している。
    内服薬の重要性,および健康情報の整理についてどう伝えるべきだろうか?

    2. 困難となる患者の状況をどう整理するのか?

    (1)健康に意識が高いが,方向の修正が必要

    信頼度にかかわらず,健康によいとされる情報はすべて信じて実践する。血圧低下を期待して,健康のためにと行動を起こす。

    (2)健康情報に対するとらえ方

    健康のためと思い,「高価であっても試みたい」「効果があれば」と期待を抱いている。

    (3)通院中断

    健康食品などを試して効果がなければ内服を再開することに抵抗はないが,薬剤を中断すると薬剤が余るため,受診間隔が長く延びてしまう。

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