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頭痛[今日読んで、明日からできる診断推論 実践編(3)]

No.4697 (2014年05月03日発行) P.48

監修: 野口善令 (名古屋第二赤十字病院 副院長・総合内科部長 )

大杉泰弘 (飯塚病院総合診療科/飯塚・頴田家庭医療プログラム)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-04-05

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  • 病 歴

    52歳,男性,警備会社勤務。もともと慢性的な頭痛があり,アセトアミノフェンを頓用していた。仕事中,座っていたときに周囲の物音が聞こえなくなり,その後意識消失した。数分後に同僚が部屋に入ってきたため気がついたが,頭痛があった。いつものアセトアミノフェンを服用し,しばらく横になって休むうちに症状は軽快した。しかし仕事が終わり,自ら運転し帰宅後休んでいたところ,頭痛が続くため心配になり外来を受診した。

    スナップ診断

    「突然発症の」「今までに経験していない最悪の」といった,くも膜下出血に典型的な病歴はない。また,「側頭部に限局した」という,側頭動脈炎を示唆する病歴も認めない。積極的に診断に至る病歴は現時点ではない。
    また,もともと頭痛の既往があるからと一次性頭痛に飛びつくのは非常に危険である。


    分析的アプローチ

    ■なぜその疾患名が挙がったのか

    頻度から言えば,一次性頭痛の確率が当然高い。しかし,頭痛診療において,生命予後に支障をきたす危険な頭痛を外来診療でいかに見逃さないか,は臨床医にとって最も関心の高い事柄である。
    生命予後に支障をきたす病態は,脳圧亢進症状,髄膜刺激症状であり,これらを示唆する病歴を詳細に確認すべきである。特に,50歳以上に初発した頭痛の場合,これらを十分に除外する前に一次性頭痛と診断するのは,見逃しの第一歩である。
    くも膜下出血の患者の23〜37%が初診時に誤診されているという研究もあり,診療所でのトリアージは非常に重要である。

    私のクリニカルパール

    頭痛と失神では,まず初めにくも膜下出血を除外する(脳圧亢進によりカテコラミンストームが生じ,不整脈が起こり失神に至る,痙攣により意識がなくなる)。

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