病型(くしゃみ・鼻漏型あるいは鼻閉・充全型)を問わず,通年性アレルギー性鼻炎では中等症以上,花粉症では軽症以上の患者への使用が推奨されている
経口抗ヒスタミン薬効果不十分例に対する鼻噴霧用ステロイド併用は有効である
鼻噴霧用ステロイド効果不十分例に対する抗ヒスタミン薬併用は有効である
鼻噴霧用ステロイドの全身的な副作用の出現には生物学的利用能が関わる
最重症鼻閉患者では,鼻かみやスチームなど理学療法で鼻腔を広げるか,点鼻血管収縮薬や経口ステロイドの短期使用により鼻噴霧用ステロイドの効果を上げることを考慮する
ステロイドは,現在のアレルギー性鼻炎治療薬の中で最も抗炎症作用が強い。肥満細胞,好酸球,T細胞,樹状細胞などの鼻粘膜に浸潤する炎症細胞のみならず,上皮細胞や分泌腺などの鼻粘膜を構築する細胞にも抗炎症効果を示す(図1)。
たとえば肥満細胞に対しては,プロスタグランジン産生および局所浸潤の抑制を誘導する。好酸球に対してもeosinophil cationic protein(ECP)放出や局所浸潤の抑制に働く。T細胞に対しては,IL(interleukin)-5などのTh2サイトカイン産生を抑制する。さらに,過剰な免疫応答を抑制する制御性T細胞(regulatory T cell:Treg)やIL-10などの制御性サイトカインを誘導する1)。
構築細胞に対しては,気道上皮細胞からのIL-33誘導性IL-8およびGM-CSF(granulocyte macrophage colony-stimulating factor)産生抑制,血管内皮細胞のE-セレクチン発現抑制作用や血管透過性抑制作用,分泌腺や杯細胞からの粘液産生の抑制作用などを示す2)。
これらの多彩な薬理作用により,「鼻アレルギー診療ガイドライン─2013年版(改訂第7版)」では,鼻噴霧用ステロイドの特徴として,①効果が強い,②約1~2日で効果が発現する,③副作用は少ない,④アレルギー性鼻炎の3主徴(くしゃみ,鼻漏,鼻閉)に等しく効果がある,⑤投与部位にのみ効果が発現する,などが挙げられている3)。
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