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(11)前日の夜中から嘔吐・下痢がある20歳男性[特集:備えておくべき重篤疾患の診かた─見落としを防ぐには]

No.4718 (2014年09月27日発行) P.60

編集: 本村和久 (沖縄県立中部病院プライマリケア・総合内科副部長)

鳥谷部真実 (亀山市立医療センター内科)

北村 大 (三重大学附属病院総合診療科助教)

登録日: 2016-09-01

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  • 1. 初期症状

    50歳代になってから頭痛が起きるようになった62歳の男性。特に既往歴はなく,薬剤内服歴もない。数日前に防具を着けずに溶接作業をしたが,その時は特に痛みはなかった。一昨日の夜から頭痛があり,昨日からめまい,目のかすみが出現した。徐々に頭痛が増悪し,嘔気・嘔吐も出現。夕方,救急外来に救急搬送された。患者は前頭部から眼周辺を手でおおいながら「普段の頭痛とは違い,頭痛がどんどんひどくなっている……」と苦しそうに話した。
    救急外来到着時のバイタルは血圧144/93mmHg,心拍数 65回/分,SpO2 97%,体温35.9℃,呼吸数18回/分であった。

    2. 考えられる疾患

    本例は,患者でごった返す夕方の救急外来への受診であった。忙しい救急外来中であると,先に検査しがちで,病歴がおろそかになることにより疾患の見逃しが起きる可能性がある。
    頭痛の症例で最も重要な点は,危険な頭痛を見つけ出すことである。表1 1)に頭痛の病歴におけるred flagを示す。このうち「これまでで最悪か(最悪)」「突然発症か(突発)」「増悪しているか(増悪)」の質問が有用で2),その中でも「増悪」はオッズ比16.0と有意に高い。本例では,「いつもと違う頭痛」が「急激に増悪」していることから,危険な頭痛が疑われた。
    緊急性の高い,くも膜下出血を最も考えた。他に,20〜40歳代の好発年齢からははずれるが,群発頭痛や,防具を着けずに溶接した経緯から,紫外線眼障害も考えられた。

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