(岐阜県 K)
1983年にHelicobacter pylori(H.pylori)が発見される以前には,ストレスが消化性潰瘍の大きな原因として考えられていましたが,現在は,ご存知の通り,H.pylori感染が消化性潰瘍の主な原因であり,非H.pylori潰瘍では,NSAIDsやアスピリンなどの内服による薬剤性潰瘍の頻度が高いと考えられています。
うつ病と消化性潰瘍の関連に関する最近の検討でエビデンスレベルが高い文献は少ないのですが,うつを繰り返す人は健常者と比較して胃潰瘍が多い1),一般住民において不安障害や気分障害を有する人で消化性潰瘍の頻度が有意に高かった2)との報告があります。しかし,消化性潰瘍の有無に関しては自己申告に基づいた検討であり,全例に上部消化管内視鏡を施行して消化性潰瘍を診断したデータではないことから,消化性潰瘍の診断の精度には限界があるかと思います。わが国ではうつ病と消化性潰瘍に関する文献はほとんどありません。現時点では,うつ病と消化性潰瘍の関連に関するエビデンスは少ないと考えます。
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