高尿酸血症は血清尿酸値7mg/dL以上の状態を言い,その原因病態は産生増加と排泄低下の2つのタイプに分類されてきた1)。しかし,この分類は尿からの尿酸排泄にのみ基づいており,腸などからの尿酸排泄は考慮されてこなかった。通常,尿酸の約2/3は腎臓から排泄され,残りの1/3は腸管から排泄されている2)。最近,腸管からの尿酸排泄が低下するタイプの高尿酸血症が報告され,腎負荷型と命名されている。すなわち,尿酸排泄トランスポーターのABCG2遺伝子に変異が認められ,第3のタイプとして注目されている3)。
CKDでは,尿からの尿酸排泄が低下することが高尿酸血症の主因とされているが,腸管での尿酸排泄を含めた全身の尿酸代謝に関してはよくわかっていない。最近,筆者らは5/6腎摘ラットを用いて回腸でのABCG2発現が増加していることを示し,腸管からの尿酸排泄が増加している可能性を報告した4)。そして,その引き金となるのは尿毒症物質ではなく,尿酸自体であることを見出した5)。
今後,痛風の新しい治療として,腸管からの尿酸排泄をターゲットとした薬剤の開発が期待される。
【文献】
1) Boss GR, et al:N Engl J Med. 1979;300(26): 1459-68.
2) Sorensen LB:Arthritis Rheum. 1965;8(5):694-706.
3) Ichida K, et al:Nat Commun. 2012;3:764.
4) Yano H, et al:Clin Exp Nephrol. 2014;18(1): 50-5.
5) Nagura M, et al:Nucleosides Nucleotides Nucleic Acids. 2016;35(10-12):550-8.
【解説】
熊谷天哲 帝京大学地域医療支援講座特任講師
内田俊也 帝京大学内科教授