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代謝性アシドーシスとCKDの進行【重炭酸Na投与により腎保護効果が期待できる】

No.4861 (2017年06月24日発行) P.48

熊谷天哲 (帝京大学地域医療支援講座特任講師)

内田俊也 (帝京大学内科教授)

登録日: 2017-06-21

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CKDにおいては,酸排泄能が低下し,代謝性アシドーシスが認められるが,アルカリ投与で補正することで腎機能低下を抑制できるとする報告があり,注目されている。末期CKDの代謝性アシドーシスに対して重炭酸ナトリウム(Na)投与で透析導入が抑制され1),腎硬化症の早期CKD患者において,重炭酸Na投与によりeGFRの低下が抑制された2)。また,腎臓からの酸排泄が減少することがCKD進行のリスクになるとの報告もある3)

この結果から『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013』において,重炭酸Na投与による代謝性アシドーシスの補正が推奨されるようになった。Na負荷になり血圧上昇の懸念があるが,Clと共役していないNaの場合は体液貯留の可能性は低いとされている4)

代謝性アシドーシスの補正によりCKDの進行が抑制されるメカニズムに関してはコンセンサスが得られていない。酸負荷は腎臓でのエンドセリン産生亢進から尿細管間質障害を引き起こすことが示されている2)。一方,腎近位尿細管の管腔側のpH低下が尿細管細胞の障害を惹起するとの研究もあり5),今後の研究の進展が期待される。

【文献】

1) de Brito-Ashurst I, et al:J Am Soc Nephrol. 2009;20(9):2075-84.

2) Mahajan A, et al:Kidney Int. 2010;78(3):303-9.

3) Vallet M, et al:Kidney Int. 2015;88(1):137-45.

4) Kurtz TW, et al:N Engl J Med. 1987;317(17): 1043-8.

5) Souma T, et al:J Am Soc Nephrol. 2011;22(4): 635-48.

【解説】

熊谷天哲 帝京大学地域医療支援講座特任講師

内田俊也 帝京大学内科教授

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