皮膚筋炎の代表的な症状はGottron徴候・丘疹,ヘリオトロープ疹をはじめとする皮膚症状と,四肢近位筋優位の筋力低下である。皮膚筋炎は一定頻度で間質性肺炎と悪性腫瘍を合併する。どちらも予後を規定する重要な合併症である。このように皮膚筋炎の臨床像は多様であるが,近年,複数の筋炎特異的自己抗体が同定され,それぞれの筋炎特異的自己抗体は特徴的な臨床症状と関連することが明らかになった。これにより,筋炎の診療において筋炎特異的自己抗体を検出することは重要であると認識されている。
抗Mi-2抗体は筋炎特異的自己抗体のひとつで,HEp-2細胞を基質とした蛍光抗体間接法で高力価のspeckled型を示す。抗Mi-2抗体の検出には手技の煩雑な免疫沈降法が必要であったが,抗Mi- 2抗体を検出するELISA検査試薬が開発され1),2016年10月から保険適用になった。
抗Mi-2抗体陽性例は典型的な皮疹と筋症状を有する。筋症状は高度であることが多く,CK値が数千~1万IU/Lを超えることもめずらしくない2)。筋症状はステロイドに反応するが,難治あるいは再燃することがある。筋症状がステロイドでコントロールできない場合,免疫グロブリン大量静注療法の適応になる。一方,間質性肺炎と悪性腫瘍を合併することは稀であるため,生命予後は良好である。しかし抗Mi-2抗体に限らず,皮膚筋炎では悪性腫瘍が偶発的に合併することがあり,悪性腫瘍のスクリーニングを行う必要がある。
【文献】
1) Fujimoto M, et al:J Dermatol Sci. 2016;84(3): 272-81.
2) Hamaguchi Y, et al:Arch Dermatol. 2011;147 (4):391-8.
【解説】
濱口儒人 金沢大学皮膚科准教授