厚生労働省は6月8日付で、医療用医薬品の添付文書記載要領の改定内容を通知した。記載要領の改定は20年ぶりとなる。主な改正点は、①「原則禁忌」の廃止、②「慎重投与」の廃止、③「高齢者への投与」「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」「小児等への投与」の廃止、④「特定の背景を有する患者に関する注意」の新設、⑤項目の通し番号の設定―の5つ。2019年4月1日から施行する。施行時点で承認済み、または承認申請中の製品については5年間の経過措置を設ける。この間、医療現場には2つの記載要領に基づく添付文書が存在することになるため注意が必要だ。
今回の改定の狙いは、添付文書内での重複記載の解消や、さまざまな場所に分かれて記載されている関連項目の集約化などを図ること。中でも投与に際し注意を要する患者への注意等は「特定の背景を有する患者に関する注意」を参照すると容易に確認できるようになっている。また、各項目に通し番号を付与することにより、見たい情報をより早く確認できるよう見直しが行われた。
原則禁忌を廃止
原則禁忌については、厚生労働科学研究班が実施した全国の医師・薬剤師に対する大規模調査の結果を踏まえ、廃止する。原則禁忌の理解度に関する調査では、医師・薬剤師ともに「原則禁忌は禁忌と同等」「原則禁忌は慎重投与・併用注意と同等」と回答した割合が半々になるなどバラツキがある現状が明らかになった。そのため原則禁忌を廃止し、今後は禁忌、または新設する特定の背景を有する患者に関する注意の「合併症・既往歴等のある患者」の項等へ記載することとしている。