7月7日、最高裁判所第二小法廷(小貫芳信裁判長)が注目すべき判決を下した。医師の「年俸」に時間外労働の割増賃金は含まれないとの判断を示したもので、この判決は今後の労働基準監督署の指導や働き方改革への議論にも影響する可能性がある。
この裁判は、神奈川県内の医療法人立病院に勤務していた40代男性医師が解雇された後、医療法人に対し、時間外労働・深夜労働の割増賃金の支払いを求めたものだ。
判決文によると、この医師が2012年4月に医療法人との間に結んだ雇用契約の内容は表に示した通りで、「時間外勤務規程」に基づき支払われるもの以外の時間外労働等に対する割増賃金については、年俸1700万円に含まれることが医師と医療法人の間で合意されていた。しかし、年俸の内訳で割増賃金に相当する部分の金額は明示されておらず、医療法人は男性医師の時間外労働・深夜労働に対する割増賃金を支払っていなかった。
一審・二審判決は「医師としての業務の特質に照らして合理性があり、本人が労務の提供について自らの裁量で律することができた」「給与額が相当高額であった」などとして、医師の請求を棄却した。
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