全国医学部長病院長会議は20日の会見で、大学附属病院から関連病院に出向している後期臨床研修医の割合(出向率)が、都市部の大学では上昇している一方で、地方の大学では横ばいとなっているとの調査結果を公表した。調査を取りまとめた同会議地域医療検討委員会の守山正胤委員長(大分大)は「地方大学の医師派遣能力を回復してくことが急務だ」と強調した。
この調査は、同会議が2016年度の全国の大学病院研修医の状況を分析したもの。それによると、医師国家試験合格者のうち出身大学で後期研修を受けている医師の割合(受け入れ率)は、中大都市の大学では94.5%、小都市の大学では50.6%。新医師臨床研修制度施行前の02年度(中大都市69.4%、小都市74.2%)と比べると、小都市の受け入れ率は回復していなかった。ただ、16年度には中大都市、小都市とも受け入れ率が前年度より10ポイント近く上がっており、同会議は「新専門医制度を見越した動きではないか」とみている。
2016年度の初期臨床研修修了者(後期研修医)の出向率をみると、中大都市28.5%、小都市15.6%となっており、10年度(中大都市22.6%、小都市17.1%)以降、小都市の大学では伸び悩んでいることが分かった。
会見で守山氏は「新専門医制度で大学が研修医を囲い込もうとしているという批判もあるが、特に地方では、大学に残る医師が減ることとへき地医療を支える医師が減ることは表裏一体であることを理解してほしい」と述べた。