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「アクションプラン時代」に求められるAMR対策と感染症診療─日本の強みを生かしてピンチをチャンスに(舘田一博)[特集:薬剤耐性問題から変わる感染症診療─抗菌薬処方のこれから]

No.4870 (2017年08月26日発行) P.18

舘田一博 (日本感染症学会理事長)

登録日: 2017-08-25

最終更新日: 2017-08-25

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  • 1985年長崎大卒、同大第二内科入局。東邦大微生物学教室助手、同講師を経て、米ミシガン大呼吸器内科留学。2005年東邦大微生物・感染症学講座准教授。11年より同教授。17年4月より日本感染症学会理事長

    アクションプラン実現への流れができてきた

    ─舘田先生は4月に日本感染症学会理事長に就任されました。「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」策定から1年。どのような問題意識をお持ちですか。

    AMRが世界中で問題となっているこの時期に、対策の旗振り役としての責任を負うことになりました。理事長に就任して一層強く思うのは、日本の強みをいかに生かし、世界のピンチをチャンスに変えていけるかということです。

    AMR対策の方向性はアクションプランが示しています。AMRを巡る状況は世界的には非常に厳しいのは事実ですが、日本の状況は欧米やアジア諸国に比べるとまだ良いほうです。それだけに私たちの責任は大きいと考えています。

    日本は20年前のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の院内感染が深刻だった時期に比べると対策が格段に進みました。日本には成功事例と経験があり、現状をチャンスに変える力がある。今、学会としての行動が求められています。感染症学会は会員約1万1000人。学会としてもアクションプランを達成しようという流れができている状況だと思います。

    「世界標準」を生み出してきた日本の創薬

    ─日本の強みとは。

    1つは創薬。現在は収益性の低さから、製薬会社が新規抗菌薬の開発を継続することが難しい状況になっています。しかし、レボフロキサシン、クラリスロマイシンなど、感染症診療の現場で世界標準となった日本発の治療薬は数多く、日本にはそうした薬剤を世界に送り出す底力がまだあります。

    私が委員長を務めている感染症関連7学会合同の「感染症治療・創薬促進検討委員会」では、AMED、PMDA、製薬協、関係省庁などの担当者に参加してもらい、新規抗菌薬の開発を促進するために課題を共有しています(21頁参照)。創薬には産官学の力の結集が必要です。

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