【質問者】
乳原善文 虎の門病院腎センター内科リウマチ膠原病科 部長
ポドサイトに関する研究論文は,1970~1980年代は年間20編以下でした。この数が少しずつ増加するのは1990年代に入ってからです。1990年代にKrizらが糸球体硬化に至るプロセスにポドサイトが重要であることを形態学的に明らかにし,さらに糸球体のポドサイト足突起に存在するネフリン分子が発見されたことがその後のポドサイト研究発展の端緒となったと著者は考えています。その後,論文数は年々急増し,最近では年間600編を超える数の研究発表がなされるようになりました。こうしたポドサイト研究の進歩に伴い,糸球体腎炎(障害)の首座は,メサンギウム細胞からポドサイトであると考えられるようになってきました。
以下,ポドサイト研究の概要を列記します。
糸球体がどのようにして硬化していくかの機序について,近年ではポドサイト障害に起因すると考える研究者が多いようです。
尿中にポドサイトが脱落していることが明らかとなり,その後の尿バイオマーカー研究のパイオニアになりました。
ポドサイトに発現する分子の異常と病気との関連を明らかにするmolecular podocytologyの発端をつくりました。
糸球体からポドサイトが失われること(podocytopenia)が糸球体障害の進展に重要であることが明らかになってきました。
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