23価肺炎球菌莢膜多糖体ワクチン(PPSV23)が定期接種化され,任意接種として13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)も65歳以上に適応が拡大された。高齢者におけるPCV13,およびPCV13とPPSV23の連続接種について,今後の検討が待たれる
帯状疱疹は,高齢者に多く認められ,続発する帯状疱疹後神経痛のQOLに対する影響は大きい。海外では帯状疱疹ワクチンが使用可能であり,高齢者に推奨されている国産水痘ワクチンにも同様の効果が期待される
肺炎球菌は,市中肺炎の2~3割を占める主要な原因菌であるとともに,副鼻腔炎,中耳炎,髄膜炎,敗血症などの原因菌となっている。特に,高齢者における肺炎,髄膜炎,敗血症などの侵襲性肺炎球菌感染症(invasive pneumococcal disease:IPD)では,高い死亡率を認める。肺炎球菌感染症の治療上の問題点として,1990年代以降のペニシリン耐性肺炎球菌の増加,マクロライド系などほかのクラスの薬剤への耐性化が挙げられる。
国内外で,高齢者を含む肺炎球菌感染症への高リスク者に対し,23価肺炎球菌莢膜多糖体ワクチン(PPSV23)の接種が推奨されている。以前,PPSV23の接種は,生涯1回限りとされていたが,2009年の日本感染症学会では「肺炎球菌ワクチン再接種に関するガイドライン」において,5年の間隔でPPSV23の再接種が可能との見解が示された。また,2014年10月1日より,PPSV23が定期接種化され,高齢者への接種が推進されている。2015年度から2018年度まで,該当する年度に65歳,70歳,75歳,80歳,85歳,90歳,95歳,100歳となる者,60歳以上65歳未満で循環器,呼吸器,腎機能および免疫機能障害で身体障害者手帳1級相当の者が定期接種の対象となる。ただし,PPSV23既接種者は,対象から除外されている。
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