【質問者】
疋田敏之 ひきた小児科クリニック院長/ 帝京大学医学部小児科客員研究員
ご指摘のように,反復感染例には個人差があるように思われますが,明らかな宿主側因子はこれまで報告されていません。ただ,GASは家庭内でも伝播するため,同胞の存在が反復感染につながりやすいことは以前から指摘されています。
反復感染と特定のヒト白血球抗原(human leukocyte antigen:HLA)タイプに関連があるという海外の報告がありますが,人種差もあり普遍性があるとは言えません1)。最近,GASのM蛋白質(M1)が,ヒト血液型抗原のO型(H抗原)にA・B・AB型より結合しやすいことが報告されています2)。血液型抗原は気道粘膜上皮にも発現しており,個人差の解明につながるかもしれません。
ご存じのように,GASの感染防御には,M蛋白質に対する型特異的抗体が重要です。M型は130以上あり,小児は異なる型のGAS咽頭炎を繰り返します。また,発症から2週以内に約6%が再燃し3),発症時と同じM型によることが知られており4),型特異的免疫獲得が不十分なためと推定されます。
このような真の再発例とは別に,反復感染例の中には,本来はウイルス感染にもかかわらず,咽頭からGAS保菌株が検出されGAS感染症と誤解されている例も多いことが指摘されています5)。小児のGASの無症候性保菌率は5~20%と高く,GASが検出されたからといってGAS感染症とは限りません。
残り1,053文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する