(岩手県 A)
変形性母指CM関節症は,中年以降の女性に多く,遠位指節間(distal interphalangeal:DIP)関節症(ヘバーデン結節)についで多い手指の変形性関節症と言われます。わが国の1535人のコホート研究で,平均年齢63歳の群の50%にX線上,変性がみられました1)。年齢とともに割合が増えると言われ,超高齢社会のわが国では,もはや日常的に接する疾患になっていると考えます。
外用貼付薬,装具療法,関節内注射,各種鎮痛薬内服,ギプス固定などがあります。
①装具療法
全身への影響が少なく,かつ時に長期的に効果が期待できるものとして,まずは装具療法をお勧めします。装具には硬性と軟性がありますが,硬性はつけていると窮屈だと自己中止してしまう患者が多く,軟性で十分だと考えています。女性に多いことから,水仕事などを行うこともあり,日中の装着は困難な方が多いようですが,できる限り長時間の装着を2~3カ月は継続し,日中は困難であっても,夜間のみは必ず装着するよう指示しています。手根管症候群と同様,夜間のみの固定でも効果が出ることが多くあります。夜間装着のポイントは,締めすぎないことで,「ゆるくていいので,邪魔だなぁと思うぐらい」と指導しています。
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